Vol.17 プロテインを飲めば子供の身長が伸びるのは間違い!?


20150525

子供の身長を伸ばすために、両親がプロテインを飲ませている……。そんな話を耳にすることがありますよね。某有名私立高校の野球部では「寝ている子供を夜中に起こしてプロテインを飲ませている」なんて驚きのお電話を頂いたこともありました。子供の身長を伸ばすにはプロテインが効くというのは、本当なのでしょうか? ここでは、プロテインの効果や、子どもが飲むことへの影響などを説明します。

プロテインの基礎知識

プロテインは、牛乳や卵、大豆などの食品を原料として作られるたんぱく質です。たんぱく質は人間の筋肉、内臓、皮膚、爪、毛といった重要な組織を作る材料となる栄養素。つまり、私たちの体に必要不可欠な栄養素です。

プロテインに含まれるたんぱく質は、基本的に消化吸収しやすく調整されているために胃腸への負担が少なく、効率的に栄養を取り込むことが可能だと言われています。そのため、損傷した筋肉の修復や、筋肉量の増加を目的として使うアスリートはもちろん、健康を気遣う人やダイエット中の女性にまで、プロテインは幅広く支持されています。

しかし、プロテインはあくまで普段の食事では補えないたんぱく質を補う“補助食品”です。たんぱく質を含む肉や魚を食べただけでは背が伸びないのと同じで、プロテインを飲んだからといって、身長が伸びるわけではありません。

動物性? 植物性? たんぱく質の違い

たんぱく質には、肉、魚、卵、牛乳などに含まれる「動物性たんぱく質」と、大豆、豆、野菜などに含まれる「植物性たんぱく質」があります。どちらも人間の体に必要なたんぱく質ですが、その性質には少し違いがあります。

「動物性たんぱく質」は、吸収が早く筋肉を作るのに働きやすいたんぱく質です。速筋(瞬発性に優れた筋肉)を付けたい人や、激しい運動をするアスリートに適しています。ただし、脂肪やコレステロールも含まれるので、運動せず大量に摂取すると肥満にも繋がります。プロテインで摂る場合は、牛乳を原材料とする「カゼインプロテイン」や「ホエイプロテイン」を選んでみてはいかがでしょうか。

「植物性たんぱく質」は、遅筋(持久力に優れた筋肉)の維持を目的とする人に適したたんぱく質です。筋肉自体は付きにくいですが、脂肪になりにくいのが特徴。コレステロールを含まず脂肪分も少ないので、成人病予防やダイエットへの効果が期待できます。

どちらにも共通して言えることは摂取したタンパク質を体内できちんと代謝するにはビタミンB6をはじめとするビタミンB群やミネラル類も必要だということです。タンパク質だけ多く摂取しても無駄になってしまいます。

子供の成長にプロテインは必要か?

前述のとおり、たんぱく質は人間の体のさまざまな組織を作る、大切な栄養素です。厚生労働省の報告書「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」によると、一般的な生活を送る成人の場合、1日の必要摂取量の目安は0.65g/kg 体重/日だと言われています。これを理想的な摂取量とした場合、成長期である1~17歳の小児はさらに多くなり、必要摂取量の目安は0.67g/kg 体重/日と言われているのです。

例えば、体重が49㎏の12歳男子の場合、理想的なたんぱく質摂取量は57gほど。もし、これだけの量を肉や魚などの食事から摂ろうとすれば、脂肪や糖といった余計な栄養分も一緒に摂ることになってしまいます。成長期の子供に十分なたんぱく質を、1日3食の食事だけで賄うのは大変なことなのかもしれません。

しかし基本は一日三度の食事で補うことなので食事を作る際には、どう調理すれば余分な脂肪や糖を減らせるか愛情込めて工夫してあげましょう!

プロテインを飲む時に注意すること

プロテインはただのたんぱく質であるため、薬のような副作用の心配はありません。しかし、飲みすぎると体に悪影響を及ぼすこともあります。その1つが「肥満」です。タンパク質を過剰摂取すると、吸収されずに残ったタンパク質が脂肪に変化。それが体内にため込まれ、太ってしまいます。

また、余分なたんぱく質は肝臓で分解された後、腎臓で濾過され尿として体外に排出されます。つまり、たんぱく質の摂りすぎは、肝臓や腎臓にも負担をかけるのです。
プロテインはあくまで“補助食品”のひとつ。定められた摂取量を上回ることのないよう活用しましょう。

「体を大きくするにはプロテインが役立つ」。それは間違いではありませんが、ただプロテインを飲むだけでは、子供の体は成長しないのです。プロテイン重視の考え方は、肥満をはじめさまざまなリスクを招きかねません。バランスの良い食事と適度な運動、そして心身の健康があって、初めてプロテインはその効果を最大限に発揮するのです。ただプロテインを摂取するのではなく、栄養バランスの良い食事を摂り、気持ちの良い汗をかく運動をするようにしましょう。

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